SAF事業推進プロジェクトストーリー
Project Story
プロジェクト概要
太陽石油では現在、沖縄事業所の既存インフラと遊休地を活用し、年産約20万キロリットルのSAF(持続可能な航空燃料)製造を目指すプロジェクトを推進中です。原料には今後の生産拡大が期待されるバイオエタノールを採用。石油精製で培った安全・安定操業のノウハウと既存リソースを活かした次世代エネルギー事業として、2029年の製造開始を目指し、現在は2026年のFID(最終投資判断)に向けて製造設備のFEED(基本設計)を進めています。
プロジェクトメンバー
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T.M.
常務執行役員
環境安全・品質管理部担当
SAF事業推進プロジェクト
サブリーダー2025年9月よりSAF事業推進プロジェクトに参加。リーダーを務める山本堯大社長とともに、サブリーダーとしてプロジェクトのマネジメントを担う。
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T.F.
SAF事業推進プロジェクト
製造・供給基盤整備チーム
リーダー前職のエンジニアリング会社での経験も活かし、プロジェクトに参加。チームリーダーとしてメンバーのマネジメントを担いながら、FIDに向けた課題解決に取り組む。
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C.O.
沖縄事業所 環境安全部
SAF事業推進プロジェクト
製造・供給基盤整備チーム安全・環境に関係する諸法令に基づく許認可手続きや官庁折衝などを担う環境安全部に所属し、SAF事業推進プロジェクトにも兼務で携わる。
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T.S.
SAF事業推進プロジェクト
製造・供給基盤整備チーム沖縄出身で学生時代を愛媛で過ごす。入社から10年以上、技術職として四国事業所で勤務していたが、SAF事業推進プロジェクトに参加するために地元沖縄へ。
プロジェクトで担うそれぞれの役割

T.M.
私は役員の立場でプロジェクトをずっと見てきましたが、2025年の秋からサブリーダーとしてプロジェクトに深く関わるようになりました。2010年に操業を開始した四国事業所のRFCC(残油流動接触分解装置)の建設プロジェクトに、私は設計段階から運転開始、安定操業まで携わりました。その経験を若手メンバーに伝えながら、プロジェクトを支えていきたいと思っています。

T.F.
私は製造・供給基盤チームのリーダーとして、装置の建設と将来の操業を見据えた基盤づくりを担当しています。現在は海外のライセンサーやエンジニアリング会社と連携し、製造設備のFEED(基本設計)を進めています。国内の石油業界において、ここまで大規模な投資を伴うプロジェクトは近年珍しく、こうした新設プロジェクトに携われる機会はなかなかありません。そのため、SAF事業推進プロジェクトに携われることを大きなチャンスだと感じています。

C.O.
SAFの製造設備を建設するには、消防法、高圧ガス保安法、土壌汚染対策法などの多岐にわたる適用法令に関し、各々の監督官庁から許可を得なければなりません。その許可を取得するための協議・折衝を私は担当しています。沖縄事業所はかつて南西石油として石油を精製していた歴史がありますが、現在は製造設備を撤去しています。そのため、許認可手続きも“新設扱い”となり、一つひとつの工程を慎重に進める必要があります。

T.S.
私は製造プロセスの設計を担当しており、海外の技術に関するライセンサーや日本のエンジニアリング会社との協議を行っています。沖縄出身でもあるため、地元でこのような大規模なプロジェクトに関われることに強い思いがあります。


太陽石油がSAF事業推進プロジェクトを推進する意義

T.M.
航空機の燃料としてSAFが使用されるようになれば、原油から精製した燃料に比べて大幅にCO2の排出量を削減できます。そのため、世界的にSAF製造の取り組みが進んでいますが、その多くが廃食油を原料としています。しかし、廃食油は品質のバラつきがあり、量にも限りがあります。そのため世界的に“原料争奪戦”が起きつつあります。一方で、エタノールはさまざまな植物から生産でき、将来の供給安定性に優れています。事業の将来性を見据え、太陽石油はSAF製造の原料にエタノールを選びました。

T.F.
沖縄はサトウキビを生産しているため、サトウキビ由来のエタノールの一部を地産地消で賄える可能性も高いですよね。これは農業振興、エネルギー安全保障という面でも非常に大きな意義を持つはずです。

T.S.
エタノールからSAFを製造するATJ(Alcohol to Jet)・ETJ(Ethanol-to-Jet)技術は既に確立していますが、商業プラントは世界的にも前例がありません。だからこそ、設計段階から“世界の標準”を新たにつくるつもりで取り組んでいます。私たちは世界に先駆けて挑戦する立場にあり、大きなやりがいを感じています。

C.O.
政府が掲げる「2030年に国内の航空会社の燃料の10%をSAFに」という目標に対しても、私たちが年間20万キロリットルのSAFを製造できれば、大きな貢献ができますよね。


SAF事業推進プロジェクトにおいても太陽石油の強みが活きている

T.F.
太陽石油は非上場企業であるため、長期視点での投資判断もできると私は感じています。SAFのような収益化まで時間がかかる事業では、この経営構造が非常に大きな強みになるのではないでしょうか。

T.M.
“1社1製油所”で事業を続けてきた太陽石油には、安全・安定操業を絶対に守り抜く文化があります。この姿勢は、これから建設するSAF製造設備や、その操業にも必ず活きてきます。必要な安全投資は惜しまず、しかし過剰設計は回避する。その判断力も太陽石油が長年積み上げてきた強みであるはずです。

T.S.
SAF製造設備の技術ライセンサーは、長年にわたって太陽石油と関係がある企業であるため、強固な信頼関係からの率直な意見交換ができます。そのことが、設備建設において大きな優位点になるはずです。また、今回はユーティリティ設備※を含めて新設するため、四国事業所で培った運転ノウハウを反映しつつ、最新技術も積極的に採用したいと思います。※設備・装置を運転するために必要となる電力や燃料、蒸気、工業用水、圧縮空気などを供給する設備のこと。

C.O.
沖縄では南西石油の時代から地元との関係が深く、今回のSAF事業推進プロジェクトに対して地元の皆様方からの大きな期待があり、応援いただいていると感じます。この地域との信頼関係も、今後の大きなアドバンテージになると思います。

T.M.
沖縄は海外への輸出拠点としても優位性がありますよね。台湾・フィリピンなどをはじめとする東アジアの航空燃料市場に対しても供給が可能で、沖縄の地理的特性を大きく活かせます。

C.O.
沖縄は琉球王国時代に「中継貿易」で栄えましたが、SAFの拠点として新たな歴史を刻めるのではないかと私は期待しています。
現在の課題とその乗り越え方

T.M.
FIDに向けて現在課題となっているのは、“投資額の適正化”です。設計余裕や冗長性などを追求し過ぎると過剰設計になって建設コストが高くなりすぎてしまいます。安全に影響のない部分は徹底的に見直し、必要なところにのみコストを投じる。太陽石油が培ってきた知見とノウハウを活かし、その判断を的確に行う必要があります。

T.S.
海外仕様を日本の法規制に合わせる必要がありますが、その対応には相応のコストがかかります。どこまで柔軟に調整できるのか、リスク評価と投資最適化の両面から検討しています。

T.F.
沖縄は本州から遠く、建設人材の確保が大きな課題です。そこで、海外や本州で設備をある程度組み立ててから“モジュール化”して沖縄へ搬入する方法を検討しています。これにより現地の工事量をミニマムにし、工期短縮やコスト低減、工事リスクの低減を実現していきたいと考えています。また、別の側面で言えば、既設タンクの活用に関して、C.O.さんが監督官庁と粘り強く折衝したことで、大きなコスト削減につながりましたよね。これも“投資額の最適化”に向けて大きなインパクトがあります。

C.O.
時間はかかりましたが、相手方の意見や懸念事項をきちんと受け止め、誠実に対応してきた結果だと感じています。

学生へのメッセージ

T.F.
バイオエタノールを原料としたSAF製造は、世界に先駆けた挑戦であり、エネルギー転換や脱炭素といった社会課題の解決に直接貢献する取り組みです。ぜひ学生のみなさんにも関心を寄せていただければと思います。

T.M.
従来の航空燃料は、原油からガソリンなどとともに精製される製品のため、航空燃料だけを増産することはできません。しかし、今後ガソリンの需要が減少する一方で、航空需要の拡大により航空燃料の使用量は世界的に増えると予測されています。その中で、SAFによって航空燃料の安定的な供給体制をいかに確立していくかが、世界的に重要なテーマになるはず。その課題解決に太陽石油が大きく貢献していきたいと思っているので、みなさんもその力になっていただけたら嬉しいですね。

T.S.
石油業界は、そして太陽石油は長年培ってきた技術力を基盤に、今後もエネルギー産業の変革を牽引していく存在であり続けると私は考えています。今回のSAF事業推進プロジェクトは、その変革を象徴する取り組みのひとつであり、技術者としても非常にやりがいの大きいプロジェクトです。みなさんともぜひ、一緒にSAFの製造や供給に携わっていけたらと思います!

C.O.
将来的には、多様な方々がこの沖縄のSAF製造所で働き、新たなエネルギー産業の発展に貢献していただけることを期待しています。沖縄は食べ物もおいしく、レジャースポットもたくさんあります(笑)。生活環境としても魅力が多いので、みなさんにもぜひ沖縄事業所で働くことも検討していただけたらと思います。